国家交響楽団(NSO)は2月28日、3月に台湾台北市で予定していた、ロシア出身の世界的ソプラノ歌手「アンナ・ネトレプコ」氏の公演中止を発表した。
ネ氏が露プーチン大統領と近い関係にあるなどの風評がSNSで広まった事も影響したと見られ、批判が噴出し、公演の中止を求める声が上がっていた。
公演の情報は2月24日にNSOのSNSで公表された。直後から批判が殺到し、市民団体「ウクラニアンボイス」は同27日、SNSで「プーチンの友人で、侵略を正当化している人が台湾に来てパフォーマンスを行い、お金を稼ぐのは気分が悪い」などの批判があり、公演中止を呼びかけていた。
NSOはこれに対し「ネトレプコ氏はすでに昨年3月に反戦声明を出している」と火消しに躍起し「いかなる政党にも所属しておらず、ロシアの指導者とのつながりもない」と強調していた。
台湾文化部は同28日の声明で「NSOは行政法人としての専門性は認めるが、台湾の国際地位及び国際社会の輿論も重視すべき。台湾にとって戦争への態度には曖昧な空間はない」と発した。
なお、NSOは中止した理由に、ネトレプコさんのマネジメント会社と協議した結果「安全面を考慮して中止を決めた」と説明した。チケットの購入者には代金の払い戻しを実施するとした。